❣️【チャチャっと読後書評】❣️「大人の発達障害診療科」を読んで

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今回は、「大人の発達障害診療科」を読みました。

発売日:2023年02月15日頃
著者/編集:加藤進昌(著)
出版社:プレジデント社

 

ざっくりこの書籍を要約すると長年、烏山病院の発達障害外来で診療を続けている加藤先生が、発達障害(特にASD)の方々への理解をふかめるための書籍です。悩める家族には力になると思いました。当事者には、問題意識を持っているのであれば読んでみるとよいでしょう。
この書籍は主にASD自閉症スペクトラム:言葉の遅れ、こだわりの強さ、対人関係の困難さを示す自閉性障害の総称)の中でも高機能自閉症(知的な遅れを伴わない自閉症スペクトラム症)の方とアスペルガー症候群自閉症の特徴をもつが、言葉の遅れがなく知的には平均以上の自閉スペクトラム症)について述べています。

この中で特に印象的なのは、烏山病院の発達障害外来を診察する人の4割しか、厳密には発達障害と診断されない事。診断されない方へは別のカウンセリングや背景に疾患があれば、そちらを紹介するようです。最近の問題は、安易に本人の希望を聞き、発達障害という診断をつける医師がいるという点でした。ブログ主のネコケンも「これは発達障害でなく別の精神疾患ではないか」と強く疑った援助対象者の方がいました。後日、2年位たって病名が変わった事もあります。
また、発達障害であっても人間関係を通して愛着形成がされるのは当然あり、「成績が良いけどちょっと変わった子を可愛がる祖父母になつくことがよくあります。無理に母親が周りに合わせればとしつけをする強制をした場合、多くの場合、母親との断絶を招くようです。自分のやり方に独特さがあることは、無理に矯正はできない。もちろん発達障害がある方が全く矯正できなのではなく、本人が問題意識をもち本当に変わりたいと思い、適切な援助を受けると変わる可能性があるようです。例えば烏山病院の発達障害専門のデイケアを利用し適切な援助を受けることもその一つです。その中でその人の特性に応じたプログラムを利用する事。他者との共感の能力が低くても、なぜか同じASDをもつピアグループの中でなら、”共感性”といったものが育つ場合があるとのことでした。同じASD同士の中では十分にコミュニケーションを発揮して、継続しているうちに自己洞察力が磨かれて、自分の問題点にも気付くようになるようです。同じ障害を持つもの同士、心理的な安心感が保証されるのでしょうか?

ただし、これは本人が自分に問題意識を持ち、診療を受けデイケアに参加すると意識していないと難しいでしょう。

余談ですが、自称“発達障害の人”は、発達障害の方々のためのデイケアを見学すると違和感を感じ、大抵の場合は参加を拒否するとのことでした。

ブログ主のネコケンも自分に発達障害っぽさを感じていますが、厳密に発達障害という診断はつかないと思います。ただ、人生を生き抜く為に、苦手な事や得意な事を見分けるための努力から、気づくことが出来たと思います。その主な方法は、仕事効率化の観点から実用書を沢山読んだりして、実践したり、自分なりに工夫していくことでした。多分、障害との大きな違いはまず自分で問題を洗い出すことができ、自己修正を行えればいいのだと思います。


また保健師として参考になったのは、他の精神疾患ASDの鑑別についての記述でした。他の精神疾患ASDを鑑別するとすれば、ASDの方は、そもそも病識が欠如して、周りの人がどう自分が思っているかなどということはあまり気にしません。一方で他の病気の方は過剰に他人がどうか気になるとありました。また人格障害ASDの違いとして。加藤先生は、人格障害は愛着形成に問題があったケースと捉えています。


この本は、家族の行動に悩まされている人や地域の保健師等にも、とても良い本だと思います。ネコケンも発達障害に関するモヤモヤがだいぶ改善されました。書籍の発売も2023年2月と比較的新しいので安心して読めます。保健師には是非をお勧めします。大体、3時間~4時間あれば読めますよ!