
1. 一般の方には
- 2040年に1100万人の働き手が不足する日本の状況を悲観的シナリオと対処できて好転しているシナリオを知る事ができる。
2. 保健師には
-2040年の働き手不足や保健介護業界について想像し自分こととして捉える事ができる。
- 2040年に迎える過程の世の中の変化を想像し対処行動をとることができる。
書籍レビュー(一般の方向け)
書籍:「働き手不足1100万人」の衝撃2040年の日本が直面する危機と“希望”
著者: 古屋星斗, リクルートワークス研究所
出版社: プレジデント社
発刊: 2024年2月
この書籍は、2023年3月にリクルートワークス研究所が発表した「未来予測2040-労働供給制約社会がやってくる」という報告書を基に作成されています。
主な内容
2040年に働き手が1100万人不足すると本書では述べられています。この不足は、一つの職種に人が足りないために他の職種も影響を受け、生活基盤を維持することが難しくなる状況を指します。
本書では大きな問題として、「人々が生活の維持にかける時間が増え、結果として仕事どころではなくなってしまう社会」について警告しています。
労働供給不足の慢性化がもたらす危機
- 給料をいくら上げても必要な人を採用できない
- 採用コストが高騰し、必要な生活維持サービスが廃止される
- 生活維持サービスに労働力を回さざるを得ず、先端分野の人材供給が後回しになり、イノベーションが停滞する
これらの問題が対処しなければ現実のものとなると本書は警告しています。
解決策
本書では、以下の解決策を提案しています:
解決策1: 徹底的な機械化と自動化
- 機械化と自動化を推進し、人にしかできない仕事に労働力を振り分ける。
解決策2: ワーキッシュアクトの導入
- ワーキッシュアクトは、労働者が本業以外の活動で地域社会に貢献し、健康と生活の満足度を高める取り組みです。これにより働き手不足を補います。
解決策3: シニアの小さな活動
- 高齢者が幸せな生活を送れるような活動を推進する。
解決策4: 企業の無駄削減とサポート
- 労働供給制約下で生き残るには、無駄を削減し、社外活動を促進する「職場でのソーシャルサポート」を強化することが重要です。
この書籍には、現在の労働力不足を克服するための提言が多数含まれています。自分たちが「お客様は神様です」と言ってサービスを受けることが当たり前だと考えていると、やがてその地域の労働力が消え去り、サービス自体を受けられなくなる時代が来るかもしれません。
本書では「働き手は神様です」という感覚を持つ必要性も示唆しています。2040年まであと15年少し。多くの人に本書を読んでいただき、共に考えるきっかけとなればと思います。
保健師の視点では?
保健師の視点から感じたこと
書籍「働き手不足1100万人」の衝撃を読んで、保健師として私が感じたことを以下にまとめます。
●保健師のなり手減少の可能性と行政の視点で施策を提言できる保健師の減少
働き手人口が減る事自体で、保健師不足になる自治体もでてくるかもしれません。また、既に保健師のキャリアアップや職場環境が良くないことが原因で、保健師が転職をしています。今まで以上に転職率が高くなり、経験豊富な常勤保健師が育たないという問題が発生するかもしれません。このことは、地域の健康問題を解決するための提言を行える保健師が減少する可能性があります。
●役所での保健師の質の低下
役所では「保健師の質が低くても問題を起こさなければ良い。人数がいれば良い」という考えが広まる可能性があります。これは、保健師の質を低下させる要因となりかねません。
●他の職場経験を持つスタッフの増加
一方で、他の職場を知っているスタッフが増えることで、質の高い仕事をするスタッフが増える可能性もあります。これにより、一部の自治体では行政に求められる仕事の質が向上するかもしれません。
●行政サービスの質の変化
行政に求められる仕事の質も変化する可能性があります。例えば、平日限定の子どもの健診が住民から敬遠される可能性があります。このため、労働者視点の保健活動がより重要になるかもしれません。
保健師の役割は、今後さらに重要になるでしょう。しかし、キャリアアップの仕方や職場環境の改善が求められています。例えば、転職を前提とした保健師としての質を高める教育の必要性もあるかもしれません。また、質の高い保健サービスを提供するためには、いままでより意識的に行政スタッフと行政保健師が協力して、変化に対応していく必要があります。またその必要性に気づいてもらいたいです。
書籍「働き手不足1100万人」の衝撃が示す未来予測は、私たち保健師にとっても他人事ではありません。この本を通じて、今後の課題と解決策を考えるきっかけになればと思います。
ーネコケンー
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