三つ目の自治体に勤めて、改めて痛感したことがあります。
「どこもかしこも、保健師が手いっぱいだ。」
もちろん、元いた自治体だってそうでした。私は当時からよく「今の業務量は1.5倍」と口にしていたものです。(元の職場は現在も超忙しいですね。)
今の職場はそこまでではないにしても、1.1〜1.3倍ぐらいの感覚。
つまり──どこの職場もこれが当たり前になってしまっているのです。
仕事は減らない。むしろ、これから確実に“増える”。
5歳児健診の導入がどんどん進められ始めています。
その実施形態は自治体によって様々。委託で行うところもあれば、発達支援センターや保健所が直接担当することも。
週に3日だった健診業務が、週4日に拡大する可能性も見えてきた今、午前中はほぼ健診、午後は記録や訪問、事業の準備、という生活が日常になります。
さらに、障害者総合支援法や児童福祉法に基づく業務──
自治体によっては、児童発達支援、放課後等デイサービスへの関与も増えてきています。
これらの現場にいる保健師たちは、今まさに「いっぱいいっぱい」の渦中にいます。
私が関わった3つの自治体、すべてが例外なくそうでした。
「とにかく全部やる」の限界。
委託や分担という選択肢に、目を向けてみませんか?
保健師の業務体制は、いまだに保健所や保健センターを基盤にした「昔ながらの育成型」が主流です。
もちろん、それ自体を否定するつもりはありません。
でも、「仕事がどんどん増えていく今もそのままでいいのか?」と問われれば、答えはNoです。
むしろ、増えすぎた業務に対して保健師が思考停止状態になってしまっていることの方が怖い。
私は以前から「地区担当保健師を委託で担ってもらう」という形も一つの選択肢だと考えてきました。
けれど、真面目な保健師ほど、そうした意見に「とんでもない」と拒否反応を示します。
でも考えてみてください。
地域包括支援センターでは、委託された保健師が高齢者分野で地域に根ざして活動しています。
その形は、すでに一つのモデルとして機能しています。
若手が「障害者総合支援=精神保健」だと思ってしまう前に
障害者総合支援法に関わる業務は、保健師にとって非常に重たいです。(毎年少しづつ増えていきます。減る事はありません)
精神保健を担う保健師が、その分野だけに時間を取られてしまうと、「精神保健=支援法関連の手続き」と思い込んでしまう危険もあります。
実際、現場では障害者支援・児童発達支援・放課後等デイサービスなどの対応が、保健師の業務量を圧迫しているのは事実。
件数は調べていませんが、多くの自治体で似たような状況になっていると感じています。
「保健師の仕事とは何か」──
見直すタイミングは、今
これから保健師がどう働いていくべきか。
その答えは「保健所中心」ではもう導けません。
今こそ、「何が足りていて、何が足りていないのか」を冷静にアセスメントし、
不要な“全部やる”思考を手放すときがせまっています。
必要なのは「委託の是非」ではなく、「その業務、本当に常勤保健師がやるべきか?」という問い直し。
その視点で業務を見直し、保健師自身が自治体ごとに提案・発信していく力が、今ほど求められている時代はないでしょう。
最悪のシナリオは、事務職が勝手に“改正”してくること
もし保健師が何も言わず、思考停止してしまったら…
事務方が主導で、現場の声を無視した組織改正が行われる。
それが一番、怖い未来です。
私はすでに常勤保健師を退職し、今は別の形で現場に関わっています。残念ながら、「注意しないと、仕事量は必ず1.5になるよ」と伝えていますが、所詮は常勤ではありません。
だからこそ、いま「声をあげられる人たち」が、何をどう伝えるかが大事だと思っています。
最後に、どうしても伝えたい「Excelのすすめ」
毎回のように言っていますが、デジタルが苦手だから…と放置するのは、もったいない!
たった少しのExcel力が、あなたの仕事を救います。
集計、報告、資料づくり、すべてにおいて時短の武器になるからです。
“忙しいから学べない”は、逆です。
学ばないから、ずっと忙しいままなんです。
保健師という専門職で、これからも働き続けるために
私たちは、援助対象者には「行動変容を」と言いますよね。
だったら、私たち自身も変わりましょう。
今、自分が変わることで、
未来の自分や仲間の働き方が変わるかもしれない。
その第一歩を、どうか踏み出してください。
――現場を知るひとりの先輩保健師として、心からそう願っています。
